山岳テント基礎講座 5,シェルター・ツェルト・タープ

このページでは、山岳地帯で使われる「シェルター」「ツェルト」「タープ」について説明しています。

※注:当ページの一部には「大げさな表現」「過激な表現」が使われています。
 「ジョークがわからない人」「神経過敏な人」は読まないことをオススメします。

シェルターとツェルト

シェルターとツェルトの意味と分類

一般コースの登山をする人の9割以上の人はドーム型テントを使って幕営しています。

でも、アルパインクライミング、沢登り、トレイルランニングといったジャンルでは装備の軽量化をしたい場合があります。
そういう場合に使われることが多いのがシェルターやツェルトです。

シェルターは英語、ツェルトはドイツ語です。
どちらも同じ意味で、日本語でいうと「非常用テント」あるいは「簡易型テント」です。

意味合いは同じですが、製品の分類上はシェルターとツェルトで区別しているメーカーが多いです。

昔のテントは性能が低かったので、今のシェルターと大して違いがありませんでした。
シェルターという言葉自体もほとんど使われていませんでした。
昔はシェルターとテントの分類がありませんでした。

しかし、昔でも、テントとツェルトはハッキリと区別されていました。
こういった歴史的経緯があるので、ツェルトとシェルターを分けているのです。

登山歴が短い「にわか登山者」は、ツェルトをシェルターと言っている人がいます。

ツェルトはツェルトであり、ツェルトのことをシェルターと言われると凄く抵抗があります。
シェルターとツェルトでは別のものなので混同しないようにしたいものです。

シェルターの構造とメリット、デメリット

シェルターとは?

シェルターは1~数本のフレームを使うことによって形状を保ちます。
フレームを使って設営することを前提としているのがツェルトとの違いです。

シェルターは、自立するタイプもあれば、非自立式のタイプもあります。

イモ虫型シェルターイラスト

テントとシェルターは似ているようでも違います。

日本メーカーは製品ごとに、テントとシェルターをハッキリと区別してます。
区分けの要素としては、テントとしての性能が保証できるか否かではないかと思われます。

シェルターに分類されているのは、「防水性能が低い」「底面の防水性がない」「結露対策がされていない」といった製品です。
シェルターは快適性よりも、軽量コンパクト化を重視して作られています。
ですので、ユーザーによっては使いこなすのが難しい製品が多いです。

テントと同じ性能があると誤解されて使われると危険なので明確な区別をしていると思われます。

まあ、平たく言えば「クレーマー対策」です。

シェルターのメリット

テントと比べると軽い

シェルターは製品によって重さがかなり違います。
大雑把にいうと、ツェルトよりも重いですがテントに比べると軽いです。

設営がかんたん

ツェルトに比べるとかんたんに設営できます。
自立式なら組み立てるだけです。

非自立式でも、地表部分を固定するだけの製品が多いです。
ツェルトに比べるとかなり楽に設営できます。

ツェルトよりも風に強い

シェルターは風を受けにくい形状のものが多いので強風には有利です。
風を受けにくいので、固定支点にかかる負荷も少なくなります。
シェルターのほうが設営の難易度が低いです。

ツェルトは風を受けやすいので、強固な支点で設営しなければなりません。
設営には技術と慣れが必要です。

狭い岩棚でも空間が保てる

アルパインクライミングでは、狭い棚状のスペースでの幕営を強いられることもあります。
狭い棚でツェルトを使うと、底面を広げて固定できないので生地が体に触れることになります。
ツェルトは結露が発生するので不快感が増します。

しかし、自立式ドーム型のシェルターなら底面を固定しなくても空間が保てます
シェルターは吊すような感じで設営します。
もちろん、こういった場所ではロープでの安全確保をしたままの幕営になります。

シェルターは、ロープをつけたままでも使いやすくなるように設計されている製品があります。

三次元及び二次元空間維持装置が標準装備されている製品もある

近年の人気山域のテン場は、都心部も真っ青なくらいの人口密度です。

せっかく早く来てテントを張っても、みるみるうちに埋め尽くされて、ドンドン他人のテントが迫ってきます。
「狭くなるからもっとアッチに張ってくれ」なんて口が裂けても言えません。

そう、たとえ山の上でも、現代人にとって「庭付き一戸建て」は夢のまた夢なのです。
でも、諦めるのは早いです。

そういうところではイモ虫型のシェルターが役に立ちます。
変なテントが張られていると気味悪がって誰も近くに張ろうとしません。

そして、気安く声をかけてくる人も居ません。
「変なヤツには関わり合いになりたくない」と思うのは誰でも同じです。

イモ虫型のシェルターは、張るだけで庭を確保できて、しかも、隣人との面倒なお付き合いも抑制してくれる優れものなのです。

あ、ただ、世の中、例外は必ずあります。
「類は友を呼ぶ」の格言通り、変人を呼び寄せてしまうかも知れないという、恐ろしい結果になる危険性も秘められています。

ヘンテコなテントを使うならそれなりの、勇気と覚悟が必要なのです。

シェルターのデメリット

設営場所が限られる

シェルターの多くの製品は設営場所が限られます。

自立式テントと同じく、底面積ぶんだけの平坦地が必要な製品が多いです。

ツェルトよりも重い

フレームを使っているのでツェルトよりは重い製品が多いです。
しかし、ストックをフレーム代わりに使えるシェルターならツェルトと同じくらいの重さの製品もあります。

ストックを使わない場合も登山道で拾ってきた木の枝が使えます。
ただし、これをやると「カタログのかっこよさ」が見る影もなく悲惨な姿になってしまいます。

木の枝でシェルターを立てるのは、あくまでも最終奥義としたほうがいいでしょう。

性能が未知数

シェルターは、生地の種類、フレームの構造や材質など、かなりのバリエーションがあります。
したがって製品によって、防水性能、耐風性能、耐用年数などにかなりのばらつきがあります。

人によって使いかたもかなり変わります。
稜線のテン場で使われることもあれば、ヤブの中で使われることもあります。
狭い岩棚で使われることもあれば、滝のしぶきを浴びるような場所で使われることもあります。

同じ製品でも使われ方が全然違うので、性能の善し悪しを判断するのはかなり難しいです。
同じ人が、同じ製品を使い続けても、まったく同じ状況ということはありません。

シェルターが、使う状況で耐用になるかどうかは各自で判断しなければなりません。
紹介サイトや個人ブログの記事をアテにしていると痛い目をみます

かんたんに言えば、シェルターを使うなら「自己責任」ということです。

知らないと危険

床のないタイプや底面部が閉じられない構造の製品は風が吹き込む恐れがあります
こういった構造のものを山岳用シェルターとして紹介しているWEBサイトがかなり多くあります。

こういった構造のシェルターは稜線のテン場では使いものになりません

あるていど知識のある登山者なら、間違っても使うことはないと思います。
シェルターを選ぶときは構造が問題にならないかしっかりチェックを行ってください。

自立式小型シェルターはトレイルランニングに向いている

自立式小型シェルターはトレランに向いていると思います。

トレランでは夜間も含めて行動することがあります。
設営も含めて行動時間全体を短縮したい場合があります。

そういった場合では、装備の軽量化はもちろん、設営の容易さも求められます。

ツェルトなら、軽量化は図れますが設営に手間がかかります。
ドーム型テントでは、設営は楽ですが重くなります。

それを同時に解決するなら自立式の小型シェルターは理想的です。

軽量テントの重量は1500g程度です。
自立式小型シェルターは700g程度です。

歩いての行動なら800gの差はたいしたことありません。
でも、走るとなると影響が大きくなります。

飛ぶようなスピードで移動して、サッと用意して眠る。
そして、パッと片付けて、アッと言う間に去って行く。
こういった一連の行動にピッタリなのが自立式小型シェルターかと思います。

体力不足ならシェルターはおすすめできない

一般登山のテント泊なら、使いやすさを考えると800gを削る価値は低いと私は考えます。
それに、単純に体力がないという理由から軽量シェルターを選ぶというのは危険な考えかたかと思います。

「軽量装備→スピード」「軽量装備→登攀力」となんらかの「プラスのちから」を手に入れられる人は大丈夫です。

「軽量装備→一般登山者ていどの能力」はヤバイですね。
「軽量装備←弱者」なんですね。
物にすがりついているんですよ。

「軽量装備=安全」とは限らないのが自然の奥深さでもあり、恐ろしさでもあります。

登山では身を守るうえでステップアップの考えかたは絶対です。
本来なら体力がない人は、テント泊山行のステップへは進んではいけないのです。

死にたくなければ、まともに歩けるようになってから装備の軽量化を考えることですね。

カタログを眺めているヒマがあるならウォーキングでもしてきなさいッ!!。

ツェルトの構造とメリット、デメリット

ツェルトイラスト

ツェルトとは?

三角形でフレームを使わない構造の簡易テントのことを指します。

ツェルトは古くから使われてきました。

最近では、設営の手間や居住性を良くするためのフレーム(ポール)がオプションで用意されている製品も多くなっています。
ツェルトは非自立型ですので、テントとして使うなら張り綱を使っての設営が必要です。

ツェルトは遭難時にはかなり役立ちます。

日帰り登山でも携行を義務づけている山岳会が多いです。

「黄色とオレンジ以外はツェルトと認めない!(キッパリ)」と息巻いている面倒な古参会員がいるのはどこの山岳会も同じかと思われます。

ツェルトの大きさ

ツェルトには2つのタイプがあります。

一つは、中で人が座るだけの最低限の大きさのものです。
このタイプでは、寝て使うことはできません。

もう一つはテント代わりに使える広さをもったものです。

遭難時ならどっちでもかまわないと思います。
大きさはたいした問題ではありません。
どうせ寒くて、体育座りでヒザを抱えて夜明けを待つことになりますから。

ツェルトのメリット

軽くてコンパクト

ツェルト最大のメリットは軽くてコンパクトになることです。

軽量ダブルウォールテントは1500gていどです。
ツェルトは500g弱の製品がほとんどです。

収納サイズも、350mlの缶ジュースていどのコンパクトさです。

コンパクトすぎて、「アレっ、入れたよな?」とたまに思うこともあります。
ツェルトちゃんを確認したときの安堵感はハンパありません。

地形を選ばない

ドーム型などの組み立て式テントを設営するには底面積ぶんだけの平面が必要です。

ツェルトのほとんどの製品は底面が開口できるように作られています。
この構造のおかげで大きな岩があるようなところでも設営可能です。

アルパインクライミングなどでは、狭い岩棚でも吊して使うことが可能です。

はたから見たらかなり悲惨に思われますが本人は割りと平気です。
ツェルトを張ればそこは家なのです。

たとえ平坦地でも何もなしで着の身着のまま寝る方がよっぽどこたえます。
浮浪者が、夏でも新聞紙をかけて寝ているのは寒いからではありません。
何かないと人は落ち着いて寝ることができないのです。

たかが新聞紙1枚でも気を落ち着かせる効果があります。
それに比べたらツェルトなんて高級住宅と言っても過言ではないですね。

応用性が高い

ツェルトはいろいろな使い方ができます。

レインウエアが破れてしまったときの代わりに使うこともできます。

雷や体調悪化などで停滞を余儀なくされたときに使えば体温の低下を少なくできます。

休憩時に使うことを紹介しているWEBサイトが凄く多くあります。
はたして彼らは本当に、普通の登山で休憩時にツェルトを使っているのでしょうか?

私は、吹雪いている雪山以外で、ツェルトで休憩している人を見たことがないです。

人が来れば必ずこう聞かれると思います。
「どうかしましたか?」「だいじょうぶですか?」と。

ツェルトは、人さみしくなったときにも役立つ優れものですね。

価格が安い

山岳テントは安い製品でも4万円くらいします。
ツェルトなら1万円ていどで買えます。

アルパインクライミングや沢登りでは岩やヤブで傷めることが多いので価格が安いと助かります。

稜線のテン場でもありがたいですね。
「ツェルト=安い=貧乏人」と思う人は少ないでしょう。

「ツェルト=先鋭的な登山者」
と思っていただけることの方が圧倒的に多いです。

安物を使っているのに一目置かれるなんてツェルト最高ですね。

ツェルトのデメリット

結露がひどい

防水性の生地でできているツェルトは結露がひどいです。
撥水生地やゴアテックスの生地でも、状況次第ではそれなりに結露が発生します。

こんな結露ですが状況次第ではメリットにもなります。

縦走で水の補給に失敗したときのことです。
残りわずかな水をなんども眺めながら夜明けを待ってました。

ふと女神様の声がしたのです。
「さあ、わらわの×××をお舐め」と。
こうして私は喉の渇きを癒やしたのでした。

そう!。結露は喉の渇きを癒やすための標準仕様なのです!!。

設営に手間と時間がかかる

組み立て式テントに比べると設営に手間と時間がかかります。

ツェルトでも立ち木があるところなら慣れればわりとかんたんに設営できます。
しかし、森林限界を超えたような稜線のテン場では、確かな技術がないと設営することが困難になります

ツェルトを張ろうとすると大勢の登山者の注目を浴びることになるので下界での徹底したトレーニングは欠かせません。

強風時は使いにくい

ツェルトは風を受けやすいので強風時には使いにくいです。

張り綱と生地の張り具合には注意を払います。
強からず弱からずのベストを見定めます。

ツエルトは、扉の下側や底面部から風が吹き込むこともあります
私は、扉の下部を閉じられる構造にしたり、底面部を縫い付けたりして改造して使っています。

ツェルトを使うには、こういったキメ細かな対応が求められます。

そう、ツェルトは、世の女性の付き合いと同じです。

ツェルトと付き合うにはキメ細かな対応が求められます。
きれいに張られた姿を見て、「今日も美しいね」の一言は欠かせません。

そして、甘やかすばかりでもいけません。

下からお漏らしをしてしまうと言う失態には、強引な方法でのお仕置きも必要です。
縫い付けと言う調教を施して「俺色に染めてやる」のです。

ツェルトを使いたいのなら、まずは、あなた自身を鍛えて「モテる男になる」必要があるのです。

不便

ツェルトには、結露、前室がない、雨が降ると底面に水が流れる、風で生地が音を立てる、害虫を防げないといった多くの不便さがあります。 これらの対策ができないと「ツェルト=使いものにならない」という考えになりかねません。

ツェルトを使うには難点をカバーできる技能が必要です。

「ツェルトなんて…」的な否定的な意見は、「コイツ、無能のヘタレだ」との烙印を押されることになるので発言には気をつけなければなりません。

そう!。ツェルトは昔から神と崇められた尊い存在なのです!。
低脳登山者が、つべこべ言える代物ではないのですよ!!。

シェルターとツェルトに使われる生地

シェルターとツェルトにはいろいろな生地が使われています。
生地の種類による特徴をよく理解して使わないと危険なことになりかねません。
シェルターとツェルトを使うなら生地の知識が必要です。

生地の厚さ

シェルターとツェルトは、その特性からテントより軽量コンパクトに作られる傾向にあります。

素材自体はテントに使われているものと大差ありません。
では、どうやって軽量コンパクトにしているのでしょうか?。

構造の違い

人が寝るための必要最小限の空間で作られているものがあります。
使う生地の量を根本的に少なくすることで軽量コンパクトにしています。

モスキートネットなどの快適装備もつけられていない製品も多いです。
これらの製品を使うならば、どういった不便さがあるかを想定して対策を考えておきたいものです。

もちろん、寝相が悪い人は使えません。

薄い生地の使用

シェルターとツェルトは、超極薄の生地で作られている製品があります。

具体的には10デニールや15デニールといった生地の使用です。
これらの生地を使った製品は耐用性がかなり落ちます。

最近では通販で購入する人も多いと思われます。
超極薄生地を知らないと届いた製品を見て驚くことになるでしょう。
向こう側が透けて見えますから

メーカーでは、これらの製品を非常用としてラインナップしている場合があります。
つまり、常用にできるほどの耐用性がないので、非常用として製品をラインナップしているのです。

もちろん、非常用だからすぐに壊れるといったことはありません。
しかし、ちょっと小枝に引っかけるていどでも破れてしまうことがあるのが10デニールといった超極薄生地です。
こういった超極薄生地は、取り扱いにじゅうぶんな注意が必要です。

30デニールや40デニールくらいの生地なら、そこそこの耐用性があります。
あるていど普通に使いたいなら、このくらいの生地を選ぶことをオススメします。

いずれの製品でも補強されているもの、補強が考えられていないものがあります。
これらをじゅうぶんに比較検討してから買うことをオススメします。

誰ですか!。若い女性にスケスケテントを買わせようと企んでいるエロ親父は!!。

生地の防水性能

テントでは雨が防げるのが当たり前です。
しかし、シェルターやツェルトは雨を防ぐことができない生地を使っている場合があるので注意が必要です。

撥水性の生地

ツェルトには、撥水生地か防水生地のどちらかが使われています。

撥水生地は同じ厚さなら防水生地に比べて軽量コンパクトです。
さらに、結露が少ないといった特徴もあります。

撥水生地は新しいうちなどは、短時間の多少の雨なら防ぐことはできます。
しかし、雨が降り続いたりした場合や、撥水性能が劣化してくると雨が漏れてきます

撥水生地でできた製品を雨の中で使うならタープが必要になります。
そのぶん荷物が増えます。

山岳地帯の稜線ではタープの使用は難しいので撥水生地のツェルトは使えません。
ツェルトをテントの代わりに使うのなら防水性のある生地を使った製品を選ぶほうがいいと思います。

沢でも撥水ツェルトは使わなくなると思います。
最初のうちはタープと撥水ツェルトの両方をキチンと張ったりします。
でも、そのうちに面倒くさくなってタープしか使わなくなるのがオチです。

防水性の生地

防水生地は、「ウレタンコーティング」「PUコーティング」といった表記がされています。
また、耐雨性がある製品なら、耐水圧が記載されていることも多いです。

テントのレインフライは1500~2000mmの耐水圧の生地が使われている製品が多いです。
シェルターとツェルトは、1000mmていどの耐水圧の生地が使われている製品が多いです。

1000mmの耐水圧では、大雨が降ったり生地が古くなってくると雨水が染みこんでくることがあります。
シュラフカバーを使うなどの対策を考えておいたほうがいいです。

他にも注意点があります。

シェルターやツェルトには、生地の縫い目があります。
縫い目に防水処理がされてないと雨水が染みこんできます

カタログにはこれらの処理がされているか記載されている場合が多いので確認をしてください。
縫い目の防水処理は、「シーム処理」「シームシーリング」などと記載されています。
処理がされていない製品は、その旨を説明している場合もありますので、カタログにはよく目を通してください。

防水透湿素材「X-TREK™ファブリクス」(ゴアテックス)

ツェルトには「X-TREK™ファブリクス」を使って作られている製品があります。
「X-TREK™ファブリクス」は、ゴアテックスをテント用に改良した素材です。

「X-TREK™ファブリクス」は、結露の軽減と防水性能を高めることができます。

防水生地を使ったツェルトよりは、少しは結露がマシになります。
しかし、ダブルウォールテントに比べると結露は多いです。

X-TREK™ファブリクスの耐水圧は20000mmです。
2000ではありません。2万です。
ですので、生地自体の防水性は高いといえます。

しかしながら劣化による水浸みがおこる可能性はあります。
ゴアテックスのレインウエアと同じです。

底面は開口式になっているので雨水が流れるような状況なら対策が必要です。

他の生地のツェルトに比べると重くてかさばります。
価格が一般的なツェルトの4倍くらいするのも難点です。

なんか、ゴアツェルトのことをあまりよく書いてない気がしてきました。
これは、決して私が「奮発してゴアツェルトを買ったのに意外と効果が無かったことに腹を立てている」わけではないので勘違いしないでください。

タープ

タープイラスト

タープの構造とメリット、デメリット

タープとは

タープとは、壁や床がない屋根だけの役目を果たす幕営具のことです。
床のないモノポールテントなどもタープの一種と考えていいでしょう。

タープの危険性

タープが、シェルターやツェルトと大きく違うのが、風を完全に防げないという点です。

風を防ぐことができないと体温が大きく奪われてしまいます。
風をともなう横殴りの雨なら、雨も降り込んできます。

また、タープは風をはらみやすいという特徴があります。
強風を受けて吹き飛ばされたり、破れたりする可能性が高いです。

山岳地帯では、夏でも低体温症による遭難が発生します。

タープを稜線のテン場で使うと非常に危険です。
山岳地帯の稜線のテン場ではタープは一切使えないと考えてください。

もっとも、タープを使った「ムササビごっこ」をやりたいと言うのであるならば私は止めはしません。
登山者なら「この風に乗って下界までひとっ飛びできたら…」なんて願望を抱くのはよくあることですね。

ムササビは生まれ変わりながら願望を形にしてしまった生き物なのかも知れません。

ムササビに出会ったらこう言ってあげてください。
「おまえ、どんだけ、飛びたかったんだよ」と。

補助タープ(キャノピー)

これは、ドーム型テントなどの自立式テントに取り付けて使う小型のタープです。
シングルウォールテントでは前室がありません。

オプション品で用意されているタープを使えば不便さを解消できます。
山岳用テントのオプション品ならば、ある程度の風には耐えられる設計がされています。

もちろん風が強い時は取り外すなどの安全策をとるのは当然のことです。

そうそう、書き忘れましたが、キャノピーを使えば、どれもこれも似たテントのなかで「俺はおまえらとは違うんだっ」という地味なアピールができます。

タープの使いみち

一般登山者にはほとんど縁のないタープですが、タープが欠かせない登山ジャンルがあります。
それは、沢登りです。

タープと沢登りは非常に相性がいいのです。

オートキャンプなどでは屋根の形に加工されたタープが使われますが、沢登りでは平面シートタイプを使うことが多いです。

これは、決してお金がなくてケチっているわけではありません。
平面の方がなにかと使い勝手いいからです。
いや、マジでです。

沢登りで使うタープのメリット

地形を選ばない

タープは地形をまったく選びません。
空中に張るので当然ですね。

設営と撤収が楽

沢では、立ち木や流木などが利用できるので設営はそれほど難しくはありません。

逆に、ドーム型テントの方が手間がかかることがあります。
ドーム型テントでは、底面積ぶんだけの平面が必要です。

泊まる場所によっては自分で整地する必要があります。
シャベルなども持ち込めないので、底面積を整地するのにかなりの時間がかかることがあります。

タープは撤収もかんたんです。
張り綱を解いて適当に丸めるだけです。

応用しやすい

どのタイプの幕営具よりも応用が利きます。
まあ、1枚の布切れで単純な形をしているから当然ですね。

沢でも雨風が強くなることもあります。
そういうときは低くしたりツェルト型に張ることで対処します。

非常時にはツェルトのように被って使うことも可能です。

軽量コンパクトで臨機応変

沢登りでは装備の軽量コンパクト化を求められることが多いです。

タープは、基本的には天井だけしか作りません。
壁と床がなく、天井だけの生地ですむから軽量コンパクトです。

タープで寝るときですが、私は地べたにマットを直接敷いて寝ることはありません。
ビニールシートなどのグラウンドシートを用意します。
(注:マットを直接敷いて寝る人も居ます。)

グラウンドシートのぶんだけ重くなるなら軽量コンパクトとは言えないと思われるかも知れません。
グラウンドシートのついたシェルターの方が軽量コンパクトと思われるかもしれません。

でも、沢登りでは臨機応変さが求められます。
いつも快適な場所に泊まれるとは限らないのです。

幕営する場所は、出たとこ勝負になることが多いです。
最悪の場合には、急斜面でヒザを抱えての夜明かしになることもあります。

そういった状況でも、雨が降っているならタープが有ると無いのとでは過ごしやすさがまたっく違います。
ヒザを抱えるような急斜面では、グラウンドシートの出番はありません。

天井と床を別々に使えると、困難な局面にも対応しやすいのです。
沢登りでは、困難な局面に遭遇することが多いので臨機応変に使えるタープがとても有効なのです。

結露を気にしなくてすむ

沢登りではツェルトも使われます。
沢は湿度が高いのでツェルトを使うと結露もすごいです。

ツェルトの壁に触れないようにするので気をつかいます。
タープなら結露しても全然気になりません。

あ、すいません。嘘書きました。
結露のぶん重くなるので、気にならないというのは嘘です。

見渡しがいい

外が見やすいのはメリットになります。
水量の判断、空模様、物音がしたときなどにすぐ確認することができます。

臆病者には最適な仕様ですね。

また、雨で遡行ができない停滞の時などは圧迫感がないので精神的にかなり楽になります。

しかし、やることもなくボーッと水の流れを見ていると「妙な悟りが開けそうになることがある」ので油断は禁物です。

宴会にもってこい

複数人の場合は雑談したり宴会するのが普通です。

タープは、皆で入れるので宴会にもってこいです。
雨が降っていてもタープの下でおつまみを作りながらの飲み食いができます。

それに、突然ゲロを吐いても被害が最小限で済むのはタープならではの特筆すべき性能のひとつであるといえます。

沢登りで使うタープのデメリット

害虫に弱い

害虫がいるところでは対策が必要になります。

害虫の代表格は「蚊」ですね。
対策品の定番は蚊取り線香ですかね。

でも、蚊取り線香は湿気で消えることが多いです。
それに蚊取り線香の使用はリスクが大きすぎます。

蚊取り線香の使用は、「有毒ガス無差別大量殺虫事件」に発展する恐れがあるからです。
多くの神々が住まう山中でそんな大罪を犯すとあとが怖いです。

「沢で転倒」の有罪判決を受ける可能性があるからです。
この刑が怖いのは、「いつどこで実行されるかわからない」からです。
車止めから2日歩いた滝の滝頭とかなら最悪ですよね。

さあ、そんな大罪を犯さなくても済む方法があります。
それは、ネットの使用です。

アウトドア用の蚊帳が売られています。
顔の周りだけを保護するような商品もあります。

これなら誰も傷つけることなく、血を吸えなくてもがく奴らを「せせら笑いながら高見の見物」をすることもできます。

盗難が心配

タープを張り終えてからイワナを釣りにでかけることがあります。
多くの装備を置いていきますが盗難が心配になることがあります。

知らない人は意外かも知れませんが、山での盗難は結構多いです。

タープの場合は置いてある装備が丸見えですから変な気を起こされないかと不安になります。
私は、山や沢で盗難に遭ったことはありませんが、知らない人が居たりすると心配になることはあります。

沢以外では使えない

私は、行く沢によってタープとツェルトを使い分けます。

沢の中で泊まることが確定的ならタープを使います。
沢登りでも、稜線でのテン泊が想定されそうならツェルトを選びます。

タープをツェルト状に張ることはできますが、稜線のテン場では設営に使えるものが限られます。
手間を考えると最初からツェルトを使ったほうが楽なので使い分けをしています。

まとめ

■シェルターとツェルトの意味と分類
○シェルターとツェルトは意味は同じだが分類は別
■シェルター
○シェルターとはテントよりも快適性を削って軽量コンパクト化したもの
○シェルターのメリット=テントよりも軽くて、ツェルトよりも手軽な設営ができる
○岩稜ルートでも使える
○シェルターのデメリット=製品によって性能の違いにかなりの差がある
○自立式小型シェルターはトレイルランニングに向いている
○体力不足ならシェルターはおすすめできない
■ツェルト
○ツェルトとは古くから使われてきた伝統的簡易テント
○ツェルトのメリット=軽量コンパクト、設営地形を選ばない、応用性が高い、価格が安い
○ツェルトのデメリット=結露が酷い、設営に経験と手間がかかる、強風に弱い、不便、不快
■シェルターとツェルトに使われる生地
○極薄の生地が使われている製品は取り扱いに注意
○テントよりも防水性が低い
○防水透湿素材「X-TREK™ファブリクス」(ゴアテックス)は完璧ではない
■タープの構造とメリット、デメリット
○タープとは屋根だけの構造の幕営具である
○稜線でタープは使えない
○沢登りでのタープの使用はかなり有効
○沢登りで使うタープのメリット=地形を選ばない、軽量コンパクト、応用性が高い、自然状況の確認が容易
○沢登りで使うタープのデメリット=害虫に弱い